アテネの夜

Travel Story — Greece 2024

酒に溺れた夜、Maitoの財布が
デモの人混みに消えた。
AirTagを頼りにアテネを駆け回った夜

トラブルGreece — Athens2024

2024年3月。トルコ・ギリシャ旅行の終盤、僕たちはアテネにいた。 メンバーはDaiki、Maito、Sena、そして僕の4人。 まさかこの数時間後に、財布を追いかけて街中を走り回ることになるとは誰も思っていなかった。

Full Story

Story


アテネ最後の夜

その日はかなり飲んでいた。レストランでビールを何杯も飲み、 さらにボトルワインも数本空けていた。旅行終盤特有の開放感もあった。

「明日には移動か」「ギリシャ楽しかったな」そんな話をしながら店を出た。 夜のアテネは賑やかだった。

すると前方に大勢の人だかりが見えた。赤い花火のようなものが上がり、 人々が集まり、何かを叫びながら盛り上がっている。 そして酔っ払っていた僕たちは、その熱気に吸い寄せられるように人混みの中へ入っていった。

完全に旅行者モード

今思えば完全に警戒心がなくなっていた。ヨーロッパにはスリが多い。 そんな話は何度も聞いていたし、実際に旅行中も財布は前ポケット、 人混みでは荷物に気を付けると心がけていた。

しかし酒が入ると人は簡単に油断する。 僕は現地の人たちと肩を組みながら踊っていた。周囲では花火が上がる。 知らない人とハイタッチする。写真を撮る。叫ぶ。笑う。

今思えばスリからすると最高の獲物だっただろう。

「やばい、俺財布すられたかも」

しばらくして人混みを抜けた。するとMaitoが急に立ち止まった。 ポケットを触る。もう一度触る。反対側も探す。そして僕たちを見て言った。

「やばい、俺財布すられたかも」

酔っていた空気が一瞬で変わった。全員が固まった。 全員で周辺を確認するが見当たらない。 財布の中には現金約3万円。さらに3万円ほどするコーチの財布も。 決して軽い被害ではなかった。

希望はAirTag

しかしMaitoの財布には秘密兵器があった。AirTagである。

「まだいけるかもしれん」

スマホで位置情報を確認すると、財布はまだ移動していた。 全員の酔いが少し覚めた。「追いかけよう」 そうして深夜のアテネで財布追跡が始まった。

アテネ追跡劇

最初は走った。地図を見ながら財布の位置へ向かう。 「まだ動いてる!」「こっちや!」映画みたいな展開に少し期待していた。

しかし現実は甘くなかった。人が多すぎた。建物も密集している。 AirTagの反応も安定しない。位置が更新されたと思えば止まる。 近付いたと思えば離れる。

それでも僕たちは歩き続けた。財布を取り返せるかもしれない。 そんな希望だけを頼りに。

4人の温度差

今思い返すと面白いのは、それぞれやっていることが違ったことだ。

Maito

AirTagを必死に確認中

地図を見ながら進路を考える

Sena

なぜか写真を撮っている

Daiki

ずっとトイレを探していた

財布を追うチームとトイレを探すチームが同時進行していた。 冷静に考えると意味が分からない。

警察に相談、でも「警察署へ行け」

途中で近くにいた治安部隊のような警察にも相談した。 しかし返ってきたのは「警察署へ行け」という一言だった。 少しショックだったが、彼らにも彼らの仕事がある。 自分たちで警察署へ向かうことになった。

夜の警察署

警察署までは徒歩15〜20分ほど。酒も入っているので地図を見てもよく分からない。 結果的に僕が先導する形で全員を連れて行くことになった。

やっと到着した警察署。しかしそこで見た光景は想像以上だった。 奥から聞こえる怒鳴り声。簡易留置所のような場所。 ギリシャ語で何か叫んでいる人たち。 そして手錠を掛けられた人物が警察官に連れられて降りてくる。 映画のワンシーンのような空間だった。

ちなみにDaikiは到着と同時に限界を迎え、真っ先にトイレへ向かった。

事情を説明すると返ってきた言葉は「明日来て」。それだけだった。 こうして初日の捜索は終了した。

翌日の結末

翌日、MaitoとSenaが再び警察署へ向かった。 警察と一緒にAirTagが示す場所まで行ったらしい。 しかし財布は複数階ある建物の中にあった。 どの部屋なのか特定できず、結局発見には至らなかった。

財布は戻ってこなかった。

今だから笑える話

もちろん被害に遭った瞬間は笑い事ではなかった。Maitoもかなり落ち込んでいた。 しかし旅行というものは不思議なもので、時間が経つと失敗談に変わる。

「あの時お前踊ってたやろ」「Daikiずっとトイレ探してたやん」 今では4人で集まるたびに話題になる、忘れられない夜になった。

⚠️ この経験から学んだこと

01

旅行保険は本当に大事。何かあった時の安心感は大きい。

02

高価な財布やブランド品はできるだけ持ち歩かない。観光客だと分かるだけで狙われる。

03

人混みと酒の組み合わせは危険。どれだけ普段警戒していても、酔うと判断力は鈍る。

「財布はなくなったけれど、この夜の出来事は
間違いなく忘れられない旅の思い出になった。」

Related

この旅の記録